シェア先生の授業リポート

2009/02/05
青森県 県立弘前実業高等学校の巻

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気高さの極み「岩木山」、あいにく雲で頂上見えず、無念なり

『司馬遼太郎と城を歩く』というTV番組を見ていた。番組では、司馬遼太郎の短編紀行集『街道をゆく。北のまほろば(すぐれたよいところ)の旅』で弘前城を訪れたときの話が紹介されていた。断片的ながら記憶をたどってみる。
「さて、弘前城である。津軽平野に深い緑におおわれたこの城は日本の名城の一つといわれるが、この優美な城郭が津軽の地に出現したことが奇跡に近い。」「弘前城の背後にはその天に白い岩木山が気高さの極みのように静かに裾をひいていた。」「雪の季節、この城内を歩いた人が白亜と雪をかぶった屋根が構成するモノトーンの美しさに息を呑むに違いない。」と語られていた気がする。


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「ねぷた 弘前城 雪灯篭祭り」の準備に大忙し、地元関係者

特に、3番目のフレーズに共感を覚えた。出前授業でこの地を訪れたのが2月とまさに雪の季節だったからである。暖冬とはいえ雪が降りしきる中、この週末から始まる『ねぷた 弘前城 雪灯篭祭り』の準備に取り掛かっていた。地元の商工会議所、企業、商店、病院、小中高大学校などがそれぞれ出展する。オーソドックなのは戦国武者の顔絵など(ねぷた)をはめ込んだ灯篭だが、中には雪像「崖の上のポーニョ」などもあった。実は青森県立弘前実業高等学校の生徒たちも出展していたのである。

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実直で頼もしい「農業経営科」の生徒

授業は初物尽くしで内心わくわくした。先ずは初日に行った放課後の簿記部員むけ授業、「部活」の支援である。また、2日目は「農業経営科」が対象だが、これも今までの普通科、商業科、総合ビジネス科、情報処理科などとは異なり初のケースになる。現下の実体経済の後退・景気の悪化を踏まえると、これからの日本経済はこれまでの輸出産業を中心とする外需依存体質から食料などの地産地消の奨励や農業のビジネス化を通じた地域経済の活性化策による内需・外需のバランスのとれた経済構造への転換が求められることになろう。こうした状況の中農業経営を学ぶ生徒に「『農業のビジネス化』を切り口に、皆さんの力で故郷の未来を元気にしてください。」とエールを送れたことに大きな喜びを感じた。実際、農業経営科には相撲部、バスケットボール部、野球部などスポーツ部に所属する体格が逞しい生徒が多く、弘前の未来を担うのに充分な実直で頼もしい生徒たちだった。(元横綱の栃の海、現役力士の岩木山、高見盛は卒業生だそうである。)

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「現代の大和撫子」簿記部の女子部員

一方、前日の簿記部には男子もいるが多くは商業科の女子生徒である。こちらは「大和撫子」風で実に慎ましく穏やかな感じの生徒が多い。しかし、授業中の視線から全員の真剣さが熱く伝わってくる。翌日、武田校長先生から「簿記部の生徒は簿記検定1級を目指して一所懸命です。県下で高校在学中にパスした生徒はいないが、もしかしたら初の合格者が誕生するかもしれません。今でも検定3級を受験する一般の方を指導する実力者がいるほどです。」とのお話があったが、素直にうなずけた。武田校長先生の鋭い眼差しと威厳ある風貌そして話の重みに深い印象を受けた。

このたびの授業の実現と当日の準備に大変ご尽力いただいた太田先生はじめ倉内先生、長谷川先生には心から感謝申し上げます。

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